MagiaSteam
Jig! 釣り師を釣って一網打尽!



●JIG――魚釣りに用いる疑似餌(ルアー)の一種。元の意味は金属のかたまり。
『ジグ』と呼ばれる集団がいた。彼らが取り扱うのは労働力。だが今はない。エドワード・イ・ラプセルが奴隷解放を宣言したからだ。
 そう。『ジグ』は奴隷商人組織なのだ。甘いマスクで誘惑して店に招待し、法外な料金を突きつけて奴隷契約書を書かせる。そのやり口が疑似餌で魚を釣るようだというあたりから組織名がついたとか。
『ジグ』構成員の大半は奴隷解放宣言の後に逃亡し、残った構成員は表立った行動を止めて闇に潜った。非合法であることで生まれる需要が、小規模な取引ながらも莫大な財を生んでいた。
 こうして、時代の闇に泣かされる弱き者が今日も生まれるのだ。

●夜の港町に集まる自由騎士
「要するに、その『ジグ』の残党を捕まえてほしいの」
『あたしにお任せ』バーバラ・キュプカー(nCL3000007)は集まったオラクル達に説明を開始する。
「現国王が奴隷解放を宣言し、闇に潜った奴隷商人……っていうか人攫いね。それを数名程度捕まえてアジトを吐かせて、捕まっている人と借金の証文を押さえてしまえばそれで終わるわ」
 だがそのアジトの場所が分からない。その捜索から始まるのだが――
「連中、今が稼ぎ時ってことで裏町で結構動いているみたいなの。それっぽい恰好をすれば向こうから寄って来るんじゃない?
 どんな格好かって? そりゃセクシーな格好とか奴隷にして価値がありそうなのよ。向こうからやって来るわ」
 ……なんですと? 眉を顰める自由騎士達。
「情報は多いに越したことはないわ。出来るなら全員で誘って見るのもいいんじゃない?」
 つまり全員で色仕掛けをしろと? そういう格好で夜の裏道を歩けと?
「アジトの場所を吐かせたらすぐに押さえに行くのよ。怪しんだ連中が行動を起こす前に潜入して、捕まっている人達を先に解放してほしいの。破れかぶれになった『ジグ』が証拠隠滅を図る前にね」
 証拠隠滅。その行動により囚われていた人達がどうなるかを想像して、気を引き締める自由騎士達。
「必要な衣装があったら言ってちょうだい。伝手を使って用意させるわ」
 楽しんでるだろ、バーバラ姐さん。そんな笑みだ。だが調査であるなら仕方ない(建前)。
 イ・ラプセルの闇を晴らすため、自由騎士達は動き出す。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
国力増強
担当ST
どくどく
■成功条件
1.『ジグ』のアジトを突き止め、壊滅させる。
 どくどくです。
 スパイアクション! お色気! 潜入!

●説明っ!
 このシナリオは2パートに分かれます。『おとり捜査』と『アジト潜入』です。
 このどちらにも参加できますし、片側だけに参加してもいいです。ですが『おとり捜査』によって捕まえたジグ構成員の数が多ければ、『アジト潜入』の難易度が下がります。
 逆に『おとり捜査』が上手く行っても、『アジト潜入』で失敗すれば、囚われた人達は死体となって発見されるでしょう。依頼の成否には無関係なのですが。

『おとり捜査』
 裏街を歩き、『ジグ』の構成員を引っかけて捕らえます。彼らは『性的(男女問わず)に魅力的』『気が弱そう』『ノウブル以外』『騙されやすそう』などを誘拐要素として街を歩いています。
 彼らが良く出没するポイントは知っていますので、そこを歩いていれば要素の高さに応じて警戒度を低めて接触してきます。接触してきても罠かどうか疑っていますので、ほぼ無抵抗で彼らの誘いに乗るふりをしてください。ただのナンパの可能性もありますので、見極める意味も含めて誘拐直前まで我慢する必要があります。
 実際にそのままアジトに連れていかれてもいいですし、適度な所で反撃して尋問しても構いません。前者の場合『アジト侵入』を中からサポートできる可能性がありますし、後者の場合『アジト潜入』の際に出てくるジグ構成員が減ることになります。

『アジト侵入』
 ジグのアジトです。当たり前ですが、捜査開始時点では情報なし。推測では構成員の詰め所と、その奥(あるいは地下などの閉鎖空間)に捕らわれた人達がいると思われます。
 ジグ構成員は捜査でわかっている限りでは十二名。『おとり捜査』で何名か捕まえておけば、その分数は減ります。強さはチンピラに毛が生えた程度。構成員の数が少なければ少ないほど、侵入の難易度が下がります。
 
(ぶっちゃければ、建物の形状や構造が分からない状態でのプレイング作成になりますので、細かな作戦は不可能です。なので使用する技能や『慎重に潜入する』『力で押し入る』『囚われた仲間とタイミングを計る』など大まかな趣旨を書いていただけると、おとり捜査の結果に合わせてどくどくが判断します)

 皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
報酬マテリア
3個  3個  1個  1個
19モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
参加人数
8/8
公開日
2018年07月28日

†メイン参加者 8人†

『戦場に咲く向日葵』
カノン・イスルギ(CL3000025)
『慈悲の刃、葬送の剣』
アリア・セレスティ(CL3000222)
『イ・ラプセル自由騎士団』
シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『日は陰り、されど人は歩ゆむ』
猪市 きゐこ(CL3000048)
『SALVATORIUS』
ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)
『やっぱりぷりけつまみー』
タマキ・アケチ(CL3000011)



 死神の鎌を思わせる三日月の夜――
「おらぁ、珍しいダチョウの卵を手に入れたもんで都会に売りにきたんだべが、あんたいいお店知らんかね?」
 ダチョウの卵を抱えた『太陽の笑顔』カノン・イスルギ(CL3000025)が傷物顔の男に無警戒に話しかけた。どこかの田舎から出てきた世間をよく知らない少女。男達の目にはそう写っただろう。
「ダチョウの卵だ? ……そうだな、いい店知ってるぜ」
 男達はカノンの格好をじろじろ見ながら判断する。子供のオニヒト。言動を鑑みても今ここでいなくなってもすぐに騒ぎになるわけではない。ダチョウの卵諸共いただいてもいいんじゃないか?
「本当だべか? よかっただ。おらぁ、こんな大きな町初めてで不安で不安で」
「そうか。そうだよな。よし、おじさんがお友達も紹介してあげよう。何、すぐに仲良くなれるぞ」
「わぁい。何から何まで親切にしてくれてありがとうだべ」
 男達は思う。ちょろい。これで奴隷一人確保だ。
 カノンは思う。ちょろい。これでアジトまで一緒に行けば、場所が割れる。
 カノンは抵抗することなく男達についていった。

 別の場所で――
 紺色の着物を着た『翠の魔焔師』猪市 きゐこ(CL3000048)が夜道を歩いていた。美しい柄の着物が夜の闇に紛れるように揺らめく。
「ああ、少し物をおたずねしたいのですが宜しいでしょうか?」
「っと、なんだ?」
「実は私、実家を離れ遠くアマノホカリからやってきたのですが……右も左もわからぬ身。親類もおらず、難儀していた所です。せめて同郷の方に会いたいのですが……」
 男達はきゐこの姿をじろじろ見て判断する。和服のオニヒト。おそらくはアマノホカリではいい所のお嬢さんだったのか。実家を離れたということは家出だろう。
「いいぜ。知り合いに東方出の奴がいるんだ。同じオニヒトだから気が合うぜ」
 まあそいつは捕まえた奴隷だがな。男は心の中で付け加える。
「ありがとうございます。イ・ラプセルに着いたばかりで土地勘が無くて……でも優しそうな人に出会えて助かりました!」
 このままアジトに連れて行ってくれそうで助かりました。きゐこは心の中で付け加える
 こうしてきゐこがジグのアジトに連れていかれるのであった。

 月明かりが光源となる夜道で――
(ふ、ふふ。素敵な方々でいっぱいです、あぁ、うっとりしてしまいます……!)
『ノンストップ・アケチ』タマキ・アケチ(CL3000011)は 白猫耳を頭につけて、ケモノビトの格好をして待機していた。わざと胸をはだけて、無防備さをアピールする。
(合法的に口説かれ気分を味わえるとバーバラ姐さんから伺ったのですが……なんて素晴らしい依頼なのでしょう!)
 そんなことは一言も言ってないが、ともあれタマキはノリノリだった。
「よう兄ちゃん、いい仕事があるんだけど乗らないか?」
「少し危ないけど、兄ちゃんなら大丈夫だぜ」
「ええええ!? あ、危ないんですか……でも、その分お金はたくさん入るんですよね?」
 男達はタマキを見た。上質な服。怯えた態度。後お金に釣られそうな状況。あとかすかに感じるいい香り。そういうニーズもあるしなぁ。男達は頷きあう。
「もちろんだぜ。早速話をしようか」
(ああ、両脇につかれて逃げられないような体制に……新たな歓びに目覚めそうです!)
 駄目だこのド変態。ともあれそのままジグのアジトに連行された。

「そう言えば……」
 学生服を着た『慈悲の刃、葬送の剣』アリア・セレスティ(CL3000222)が指に手を当てる。
(ナンパとジグってどうやって見分けるの?)
 考えながら夜道を歩く。そうこうしているうちに声をかけられた。
「お嬢ちゃん、こんな夜道を一人で歩くと危ないぜ」
「お兄さんたちが送ってあげるぜ」
(あれ。これって普通に親切? それともナンパ? あるいはそう思わせておいて、ジグの構成員?)
 判断がつかずに行動が送れるアリア。
「こっちに行くと近道なんだぜ」
 言って一人がアリアの手を取り、人気のない方に連行しようとする。もう一人が逃げられないように肩を掴み、押すように力を込めた。
 男達はアリアを見る。見た目も良く人を引く何かを感じさせる。それにこちらのペースに反抗しないのは、騒がれずに済む。
「肩、そんなに強くつかまないで……」
「ああ、肩はダメなのか? だったらここはどうだい?」
「ひゃあん! そこ、は……」
「ごめんごめん。ああ、でもダメじゃないのかな?」
 などと調子に乗ったジグ構成員に色々な所を触れながら、アリアはアジトに連行されていった。


「楽器も無ェ、ラヂオも無ェ、馬車もそれほど走って――」
 はいストップ。それ以上は色々アウト。
『揺れる豊穣の大地』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は『王都に来たおのぼりさん』のふりをして夜の街を歩いていた。行く先々で『力仕事はあるだか?』と田舎者丸出しでその辺の人に話しかけていた。
「なあ、力仕事をしたいのか?」
 声かけてくる男二人。何度かは本当に力仕事を求める耕夫だったり水夫だったりしたのだが、さて今度のはどうだろうか?
「おらぁ、王都で蒸気自動車を買うのが夢なんだ」
「そうかそうか。だったらいい仕事があるぜ。一日働いて――」
 提示される破額の金貨。間違いなく詐欺である。シノピリカは心の中で頷いた。
「スゴイだなぁ! おら、丈夫だからどんどん稼げるぞ」
「へっへっへ。何なら夜のお仕事も追加してさらに稼いでもいいんだぜ。詳しい話はあっちでしようや」
 言って人気のない所に連れ込む男達。そして――
「なるほど、この様に『釣る』わけか。さぞかし『大物』がフィッシュオンと思うておろうが、残念じゃったな!」
「なっ!?」
 シノピリカの軍刀が翻る。男達は悲鳴を上げる間もなく倒れ伏した。
「さて、色々聞かせてもらおうか」

「さあ、料理を持ってきなさい!」
『白金の星』ヒルダ・アークライト(CL3000279)は料理店でで声高らかに注文していた。白を基調としたドレスは貴族階級の精緻さを感じさせる。貴族の教育を受けたことを感じさせるフォークの使い方。優雅に料理を堪能し、胸元をわずかにはだけさせた。
(ふふん。今日のあたしは『世間知らずでチョロそうな騙し易そうなお嬢様』……派手にふるまい、そのまま裏路地に迷い込む形よ)
 他の自由騎士から『その設定なら演技いらないよね』と言われたのは些かふに落ちないが、気にせずヒルダは裏路地を歩く。
「そこのお嬢さん、こんな所を一人で歩くと危ないぜ」
「俺達が案内してあげようか?」
 言いながらヒルダを逃がさないような位置取りをする男達。言葉こそ親切心に満ちているが、その態度と顔がヒルダをどう弄ろうか楽しみにしていると告げていた。
「あら? あたしを案内してくれるって?」
「ああ、キモチイイことしてくれる場所にな」
「それともそっちがシテくれるのかな?」
 言いながらヒルダの方に触れる男達。そのまま手は胸の方に――
「痛ぇ! ……銃!?」
「案内してほしいわね。『ジグ』のアジトに」
 胸の方に伸びた手に、銃の台座を打ち据えるヒルダ。そのまま銃口を向け、問いかける。
 男達は静かに両手を挙げた。

「ううぅん……最近はこーゆーお仕事してなかったから、ちゃんとカン取り戻さないとだねぇ」
 白とピンクのキャミソールを着て、『もてかわハーレム♡マスター』ローラ・オルグレン(CL3000210)は頷く。夜の道であってもその服は明るく、ローラを引き立てていた。
「無関係なナンパも多いし……次は上手くいくといいなぁ、と?」
 ローラの目に留まったのはややワイルドなイケメン。パンキッシュな格好をした二人連れだ。ローラの嗅覚が、ただのナンパとの違いを嗅ぎ分けた。
「可愛いねぇ、お嬢ちゃん。こんな所で一人?」
「カワイイだなんて、ローラ嬉しい!」
 笑顔を浮かべて男に抱き着くローラ。胸を押し当て、顔を近づけて囁くように続ける。
「ローラ、ガマンできないの」
「いいねぇ。近くに俺達のアジトがあるんだ。そこで楽しもうぜ」
「ああん、嬉しい。でも今すぐシタいな。あそこでローラと……イ・イ・コ・ト、しちゃお♡」
 言ってローラは路地裏を見る。その意図を察したのか、男達も頷きローラの肩を抱いて裏路地に向かって歩き――
「くすくすっ……ばーか♡」
 数分後、魔道弾で男達をのしたローラが、嬉しそうに笑っていた。

「奴隷ね。彼らにだって生活も事情もあるんでしょうけど、それとこれとは話は別」
『RE:LIGARE』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)はいつものホワイトカラント修道院の服ではなく、少し地味目の服を着て夜道を歩いていた。どうあれ弱い奴らを狙うというのは許しがたい。
 ため息をつき、建物の壁に寄りかかるように座り込む。そのまま疲れたように顔を俯けた。『仕事に疲れた女性』の演技だ。
「はぁ……。疲れたなぁ。何かいいことないかな?」
「どうしたんです、お嬢さん。何やらお疲れのようで」
 引っかかった。ミルトスは顔をあげ、相手の姿を確認する。十人中八人が美形と判断するだろう男性だ。裏社会の人間特有の場慣れ感が漂っていた。
「いえ。仕事で疲れまして。やりたいことをやらせてくれず、行き詰っているんです」
「ああ、それは難儀なことで。どうです? 少し気分転換でも」
「あ、今持ち合わせがなくて」
「奢りますよ、美しいお嬢さんのためです」
「そんな、初めての人にそこまで……あ、はい。分かりました」
 黙って笑顔で見つめられ、押し切られた『ように』ミルトスは頷く。そのまま人気のない路地に向かい――
「ここで吐いてしまえば量刑は軽くなりますよ」
 ホワイトカラント修道院で学んだ格闘術で、男を捕縛してアジトの情報を吐かせた。


『ジグ』アジト内。
 カノンときゐことタマキとアリアはそこで合流する。金目のものや武装は解除され、全員一つの部屋に閉じ込められた。部屋の構造的に元は工場の倉庫と言った所か。他にも捕らわれた奴隷がいた。
「こいつらの治療は済んである。安心して暴れてこい」
 サポートとして先行した自由騎士が、『ジグ』に捕らわれた人達の治療をしていた。
「乱暴だなぁ、もう!」
 カノンは乱暴に部屋に押し込まれたことに不満を述べていた。その声は男達には届かないだろうが、だからこそもう田舎者を演じる必要はない。
「大丈夫よ? もうすぐ助けが来るから」
 きゐこは先に捕まえられていた人達と話をしていた。自分達の身分はまだあかせないが、助けが来ることを。
「…………何にも、なかった、です……よ」
 虚ろな瞳で横たわるアリア。何があったかを聞いても、その一点張りだった。何があったかはアリアのみが知っている。
「ふふ。では反撃開始と行きましょう! マキナ=ギア、通信開始!」
 大仰に手を振ってタマキが立ち上がる。マキナ=ギアの通信を入れて、アジトの情報を伝達した。

「よし、来たぞ。場所は三つ先の工場跡か。……見張りはなさそうじゃな」
 機械の腕の調子を確認しながらシノピリカはマキナ=ギアの通信を確認する。夜の闇を見通す瞳で工場を確認し、見張りの有無を確認する。
「あたしたちが何人か捕らえたからね。その分人数が減ってるのよ」
 散弾銃を手にヒルダが笑みを浮かべる。自由騎士達捕縛した構成員はサポートで来た自由騎士達に見張ってもらっていた。
「急ぎましょう。仲間が帰ってこないとなると、何かあったか怪しむわ」
 服を整えながらローラが言う。『ジグ』も愚かではない。『商品』を集めている人達が帰らなかったら、自分達が攻撃されていると想像してもおかしくない。
「そうね。逃亡される前に行きましょう」
 頷くミルトス。ここで逃亡されて活動場所を変えられたら、尻尾を掴むのに時間がかかる。その間にどれだけの人が『売られ』るのかわかったものじゃない。
「よし。作戦はこうじゃ。ワシとヒルダ殿、ローラ殿が真正面から攻める。その隙にミルトス殿が忍び込んで倉庫の扉を開ける。捕らわれた四人を連れて挟み撃ちじゃ」
 シノピリカの立てた作戦に頷く三人。
「アジトから『ジグ』が逃げ出さないように、わたくし達が見張っておきますわ」
「おいらたちにまかせて、派手に暴れてきてね!」
 サポートのメンバーに手を振って、自由騎士達は行動を開始する。


「自由騎士のシノピリカ、呼ばれなくても即参上じゃあ!」
 扉をけ破り、シノピリカが突撃する。大声で宣言したのは相手の気を引く為。驚きながらも『ジグ』の構成員は武器を取り応戦する。機械の腕で攻撃を受けながら軍刀を振るい、道を切り開いていく。
「ふふ。前衛ガンナーの恐ろしさを教えてあげるわ」
 狭い室内を飛び交うようにヒルダが動き回る。斜線を確保すると同時に引き金を引き、敵を一掃する。撃つと同時に移動し、さらに撃つ。一秒たりとも止まることなくヒルダは走り、銃声を響かせる。
「あはっ、いい男。でもざーんねん」
『ジグ』の構成員の顔を見ながらローラが微笑む。どこか妖艶さを感じさせる誘うような女の笑み。だがローラが彼らを許すつもりはない。近寄った男達に一撃をくらわし、伏していく。そして再び、同じように微笑んだ。
「鍵は……これですね」
 戦闘の隙を縫うようにミルトスがアジト内を駆け抜ける。周囲の風景に同化するように気配を消し、壁にかかってある鍵束を奪って奥に向かった。鉄の扉を開き、囚われた人達を解放していく。
「本当のたまちゃんを堪能してみませんか、ふふ……ふふ、ふははははは!」
 マキナ=ギアから鞭を取り出し、狂気に満ちた表情で振るうタマキ。捕らわれた時に見せたドMの態度は演技だった、と言わんがばかりの豹変である。痛みを与えて悦に浸る。人をゾクゾクさせる笑みを浮かべていた。まあ、それも演技なのですが。
「ここで待ってて。悪い奴らを倒してくるから!」
 拳を握ってカノンが囚われていた人達に笑みを浮かべる。太陽のような笑み。暗い場所から解放されて、いつもの明日が迎えられるとその笑みが告げていた。そのまま『ジグ』と戦うために走り出す。
「大人しく縛につくのなら、慈悲はあります!」
 二刀を振るい戦うアリア。どのような悪人であれ、改心の可能性はある。甘いと呼ばれようが偽善者と呼ばれようが、その心だけは失わない。投降を呼びかけながら『ジグ』を追い詰めていく。
「ふふ。逃がさないわよ。証拠と証文、何処にあるか教えてもらうわ」
 氷の魔術を放ってきゐこは『ジグ』を足止めする。戦闘不能になった構成員に近づき、相手の瞳を見る。紫の魔眼が男の精神を揺さぶり、朦朧とさせる。そのままきゐこの言うとおりに金庫を開け、書類を手渡した。
 外と中からの連携だった攻撃。元々戦闘力が高かったわけでもない『ジグ』が対応できるはずもない。
「ふはははははは! この刺激に耐えられますか!」
 タマキが振るった鞭が、最後の『ジグ』構成員を地に伏した。


 かくして『ジグ』の残党は捕縛され、囚われていた人達は解放された。彼らが今まで『売った』人達の足取りも分かり、『買った』人にも法の手が届くことになる。
「これで、終わったんですね」
 胸をなでおろすアリア。『ジグ』が逃げた様子はない。全員捕らえ、組織は完全に壊滅した。人を釣って売る組織は、もうイ・ラプセルにはないのだ。
「憐れね。別の生き方を選べばよかったのに」
 連行される『ジグ』を見ながらため息をつくように呆れるミルトス。奴隷解放令が出た時点で転職すれば、別の人生もあったのだろうに。
「んー。一人ぐらいはつまみ食いしても良かったかな?」
 唇に指をあて、惜しむようにローラは言う。甘いマスクやワイルドなイケメン。任務ついでに一人ぐらいは良かったかも。
「ふっふっふ、たまには違う自分を演じてみるのも楽しかったですね。ふふ」
 タマキは楽しそうにポーズを決める。怯えるように囚われる自分。狂気に満ちて鞭を振るう自分。どちらも楽しかった。
「未だに奴隷を根絶しきれていないのって需要があるから……つまり、買いたがる人がいるってことなのよね」
 悲しむようにヒルダが告げる。そしてそれを確保できる財源を持つのは、おおよそ貴族階級だ。社会の模範たるが貴族なのに、と肩をすくめる。
「いい、騙されないようにするコツは『自分は騙されやすいかも』と思う事よ」
 きゐこは捕まった人たちに悪人に対する対応策を教えていた。自分自身を正確に見て判断する。これが騙されないための一歩だ。
(現国王の改革前に生まれた身として、辿り辿れば自分も奴隷の労働に支えられていた事を否定するつもりは無い)
 奴隷制度があった前国王時代。それを生きてきたシノピリカは静かに想う。だからこそ、人をモノとして扱う奴隷制度の負の連鎖は止めなくてはいけないのだ。
「無事に終わってよかったね!」
 囚われていた人達の無事を確認し、カノンは笑みを浮かべる。家族を失う哀しみ。そんなものは知らない方がいい。家路につく人たちを見て、少し悲しい笑みを浮かべていた。

 かくして前時代の犯罪組織がイ・ラプセルから消える。
 だが奴隷制度は世界各国で行われており、それにより強国は勢力を維持している。国家戦略としては、奴隷制度を廃止するのは早過ぎたという意見もある。
 だがそれでも彼らは人と人の間に差を設けない。皆が手を取り、突き進む道を選んだ。
 その選択が世界に広がっていくことを願って――

†シナリオ結果†

大成功

†詳細†


†あとがき†

 どくどくです。
 些か変則的なシナリオでしたが、いかがでしょうか。
 
 今回は全員MVPということで大成功を。それぞれの囮&潜入方法になるほどとうならせてもらいました。

 それではまた、イ・ラプセルで。
FL送付済