MagiaSteam
タボロとインディエトロ




「お薬です~とっても良く効くお薬ですよ~」
 首都サンクディゼールの下町エリアにあるE・チラーン商店街。
 ある日ここに旅の行商人が来て、薬を売り歩いていた。
 彼女は『薬師』エミル・T・デルモンテ(nCL3000062)。
 エミルが売っているもの。それはアンテリオーレとポステリオーレ。
 平たく言えば『性格が反転する薬』と『裏の性格が出てしまう薬』である。

 ところが、どれだけ声をかけようとも一向に売れない。まぁそれもそのはずそんな妖しい薬など誰も買う訳も無い。
(どうしましょう~……やっぱり売れないわ……)
「……あ。この薬の材料を集めてくれた自由騎士様~、あの方達ならきっとこの薬の価値をわかってくれるはず~……っ」

 嘆いたエミルはまたも自由騎士団の詰め所の扉を叩く。

「皆さん、ご無沙汰しております~。実は~折り入ってお願いが──」

 さぁ自由騎士諸君! ここに困っている行商人がおります。
 優しく手を差し伸べて頂きたいのです。
 これは人助け。あくまで人助けでございます。他意は一切ございません。
 あなた自身がどう替わっても、それは薬のせい。

 そう──すべては薬のせいなのでございます。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
自国防衛強化
担当ST
麺二郎
■成功条件
1.薬の効能を試す。
麺です。エミル嬢の顔もお目見えしましたので、以前集めていただいた材料で作成された薬の効果を試してみて頂きたく。

普段とは違うご自身をお楽しみください。

●ロケーション

 自由騎士団詰め所。薬の効果を試して欲しいと懇願する行商人の目の前で薬を一気に飲み干します。
 アンテリオーレとポステリオーレ、どちらを飲むかはご自由に。
 すぐに効果は現れ、誰もがその効果に驚きます。
 行商人が言うには効果は半日ほど。
 普段とは違う自分。いつもならできない事やいえない事も今なら出来るかも。
 せっかくなので状況を楽しんでしまいましょう。

●プレイング

 薬を飲んだ後の変わり具合と変わったときに行いたい事、戻った後の気持ちなどをプレイングの文字数の許す限りご記入ください。
 可能な範囲で麺は頑張ります。

●参加NPC

『薬師』エミル・T・デルモンテ(nCL3000062)
 薬の効果を確かめるべく、その場にいます。行商人ですが、割と人見知りでおしゃべりは苦手です。


皆様のご参加お待ちしております。
状態
完了
報酬マテリア
1個  1個  5個  1個
13モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
参加人数
6/6
公開日
2019年06月26日

†メイン参加者 6人†




「何か面白い事ないかしら……」
 そんな事を呟いたのは、見るからに暇そうにしている『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)だった。

「あ、あの~。すみません~。自由騎士の皆さんはいらっしゃいますか~」
 自由騎士団の詰所の扉を叩いたのは『薬師』エミル・T・デルモンテ(nCL3000062)。
「エミルさんじゃない? おひさしぶりね! ほら、胸がペッタンコになる薬は持ってきてくれた? アレ男装するのに必要なのよね──」
 久々に現れたエミルに矢継ぎ早に話しかけるエルシ-。
「あ、いえ、その……前の薬は、無くって……」
「今日は無いの? それは残念ね」
 本当に残念そうな顔をするエルシーだったが、すぐに視線はエミルが持っている薬へと移る。
「あら? それは新しい薬?」
「あ、はい~。以前材料をとってきて頂いた薬が出来たので……また皆さんに試していただきたいな~と……」
 なんだなんだと、気付けば回りには数名の自由騎士が集っていた。皆興味があるようだ。
「あれ? エミルさんじゃないですか! まーたおかしな薬を作ったんですか?」
 エミルを知るこの人物は『蒼光の癒し手(病弱)』フーリィン・アルカナム(CL3000403)。以前エミルの持ってきた薬でぺったんこになったあのあらぶる好奇心、フーリィンだ。
(ごくり)
 のどを鳴らしたのはキリ・カーレント(CL3000547)。
(これはいわゆる、治験ですね……)
「えっと、わかりました。キリにもエミルさんのお手伝いさせて下さい」
 ペコリと頭を下げるとキリは薬を手に取る。
「やっほー。なんだかうさんくさ薬があるって聞いてやってきた俺だよー」
 こういう時の自由騎士の情報伝達の速さは特筆するものがある。どこから聞きつけたのか『炎の踊り子』カーシー・ロマ(CL3000569)は飲む気満々でエミルの元へ。
「いーなーこーゆーの俺も売ってみたいなー。占いとセットだと、なんかこー売れそーな気がしない?」
「え、えと……私は占いは出来なので~。お薬を作れるならやられてみてもいいのでは~」
「あははーやっぱダメ……っていいの!? でも俺薬つくれないなー」
 そういいながらカーシーは薬を手に取る。普段はこんな調子でゆる~いお調子者風の彼だが、エミルの薬を飲むとどう変わってしまうのだろうか。
「もう、仕方ないですねー。丁度半々みたいですし、私はこっちを飲みますね」
 気付けば全員に薬を渡し、テキパキと準備を始めるフーリィン。二度目ともなると落ち着きようが違う。……これは期待できそうです。
「では──」
 皆思い思いの効果を求めて薬を飲み干す。さぁ楽しい時間の始まりだ。

●エルシー、カーシー、フーリィン
 3人が選んだのはポステリオーレ。エミルの説明によれば普段は隠されている裏の人格が現れる薬だという。
「……苦くないわよね? 大丈夫? では(ごくっ)」
 
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 これから起こる異常事態を予知するかのように地面が揺れるような音が響き渡った……気がした。
「ふっ……ふふふっ。ついにっ! 私の出番ね! 真・エルシー・スカーレット! 略して真エル・スカ!」

 ここで良い子のみんなに説明しよう!!
 真エル・スカとは──主にギャグっぽい依頼で垣間見せるエルシー心の奥底に眠る第二の人格なのだ!(ドーン☆)←効果音?

 そんなエルシーの餌食になるのは一体誰だ──!?
(……ってあれ、俺いつの間にこんな隅っこに潜んでるのかなー?)
 気付けばカーシーは部屋の隅に膝を抱えて座っていた。
(いやでも……ここが安全だよね……ヒトの気配いっぱいあるし……ヒトって怖いよね……俺みたいなマザリモノは息を潜めて隅っこで生きてくしかないんでね……しかたない……しょうがない……)

 またまた説明しよう!! カーシーは薬の効果で超超ネガティブ化していたのだ!!

(いやだなーこのまま一人の世界で生きて生きたい……誰にも邪魔されずに眠りたい……)
 そんなカーシーに迫り来る影が一つ。
 誰だ!? エルシ-だ!? マジか!?
「カーシー氏! 太鼓叩いてよ! ダラブッカ、ダラブッカ!」
 半ば強引にカーシーにダラブッカを用意させる。
(うわぁ。急に声かけられた。怖い……でも逆らえない……ヒエラルキーに忠実な本能が憎い……っ!!!!)
「イ、イエスマァム! ダラブッカよろこんでー!」
 気乗りしないカーシーだが、エルシーの勢いに飲み込まれ演奏を始める。
 ドンドコドコドコ♪
「じゃーん☆ ちょうどよい所に10フィートの棒がありま~す♪」
 ノリノリのエルシーが始めたのはリンボーダンス。詰所にいた全く無関係の自由騎士に棒を持たせ、激しく踊りながら何度も何度も棒を潜り抜けていく。女性特有の丸みを帯びた体をくねらせながら踊るエルシー。体を反らせば反らすほど柔らかく揺れ主張する双丘。その汗ばみ、上気する様子は世の男性の劣情をも引き起こす麻薬が如し。
「……あの、疲れたからちょっと休憩した……くないです! 続行! はい! よろこんでー!」
 良い返事。(居酒屋で働けばすぐにバイトリーダーだぞ☆カーシー君っ)
 それもそのはず休憩を申し出たカーシーを見るエルシーの表情は……笑顔。だが目が全然笑ってない。怖い!
(だ、誰か助けてぇ……そうだフーリィンなら優しいから怖くな……あれー!?)
 すがるような気持ちでフーリィンのほうを見たカーシー。そこには……更なる混沌を呼び込むが如く闇に目覚めた彼女が降臨していたのだ──。

「クックック……フハッ、フハハハハハ……ゲホッ……ハーッハッハッハ!!」←普段しない笑い方なので途中むせた
 ここで皆も確認して欲しい。フーリィンのセットスキルを。そこに見えないだろうか『魔王』の二文字が。
 麺は思った。そう……全てはこの時のために。この瞬間のためにこの技能は存在したのだと。
 
「よもや8年もの歳月が掛かろうとはな。流石は余の反面、現出を阻み続けた光の人格よ」
 どうやら魔王としてのフーリィンはずいぶん前から封印されていた設定らしい。


「だが、それもここまで……魔王フーリィン――ここに復活を宣言するッ!(バァーーン!!)」←正面カット
「宣言するッ!(バァーーン!!)」←左カット
「宣言するッ!(バァーーン!!)」←右カット
 繰り返し演出入りましたーー! 大事なので3度言うってやつですね。実際(バァーーンも含めて)声に出して3回言ったフーリィン。さすが魔王……なんとも恐ろしい……。何が恐ろしいかって。それはこのあとも1人語りが続く事。

 人はなにゆえもがき生きるのか? 滅びこそ救い、永遠の安らぎであるというのに

 (回想シーンへ)

 老いも若きも、強きも弱きも、その全てが逃れえぬ

 (魔物に苦しめられるそれっぽいカットが数点映し出される)

 我が身を蝕みし、深遠の暗黒魔導力をもって終焉を齎そう

 (高笑いしながら玉座に着くフーリィンと配下の魔物達のカット)

 ――人よ、余が滅ぼすに足る存在であれ!!!

 (ここで場面は暗転して元の場所へ)

 魔王はその存在に興味を示さずリンボーダンスを続けるエルシーににじり寄る。

「エルシー……いや、真エル・スカよ。お前の力はこの程度か?」←エルシー聞こえてない
「まだだろう、もっといけるはずだ」←エルシーやっぱり聞いてない
「余に人の輝きを見せてくれ」←エルシー聞こえた。言葉の意味はよくわからんがとにかくすごい自信だ
「人は我が闇の腕に抱かれて眠る価値があるものだと――証明するのだ!」←へのつっぱりはいらんですよ
 
 そんな様子を呆けたように見つめるカーシー。
(あれれー? あの子そんな闇抱えてる子だっけー?)
「俺の知ってるフーリィンどこだー!?」
 ずずいとフーリィンがカーシーににじり寄る。
「知っている余ではない、だと? それに闇は抱えているものではない。元々私自身が闇そのものなのだ!!」

 魔王さま!! 貴女今カーシ-さんが言葉に出さずに心情で入れたセリフにまで応えちゃってますよ!? ←殴り書きのカンペ
 思わず魔王様にカンペを出す麺。もう収拾がつかなくなってきた。

「 気  に  す  る  な  ! 」

 いえ、気にします。気にしますよ魔王さま……コンプラ怖い……。整合性取れないの怖い……。

 フフフ……恐怖を抱く事は構わん。だが、それを勇気で包み、抱えて生きてこそ人というものよ。見ているが良い。余が華麗にハードルを潜る姿に、貴様は勇気の何たるかを知るだろう
 ↑謎理論発動

 それでも続ける魔王さま。そして始まるフーリィンとエルシーのリンボー勝負。
(うわーもう色んな意味で泣きそう! ヒト怖い!!)
「ほら、エミルン! 人見知り~なんて言ってたら、行商なんてできないわよ! エミルンも一緒にやろ?」
 こうしてやたら陽気でちょっとエロいエルシー、やたらにネガティブでヒトが怖いカーシー、そしてやたらに魔王なフーリィンという混ぜるな危険な3人は、そのまま薬の効果が切れるまでかみ合ってるのかかみ合ってないのかわからないやり取りをつけたのであった。

●リリアナとキリ
「……引き受けちゃった。これって記憶はどうなるのかしら」
「性格が反対に……一体どうなるんだろう」
 勢いに任せて薬の効果を試すことになったキリとリリアナ。直前になって色々大丈夫なのか気になり始めてしまう。
 キリとリリアナ。この2人には共通する点がある。それはよく言えば奥ゆかしい性格。それは同じ薬を飲む状況となり、こんなにも近くにいるにも関わらずうまく話しかけられずお互い愛想笑いをしてしまう状況からも容易に想像が出来る。
(でもまぁ……半日で戻るもの。大丈夫よね。それもこれもキリの恥ずかしがり克服のためなんだからっ)
(自分が変わるための第一歩。頑張るのよリリー!!)
 自分で自分に言い聞かせながら一気に薬を飲み干す2人。
「うっ……なんだかへんな味……」
 独特の後味を下に感じながら待つこと数十秒。その効果は如実に2人に現れる。
 訳も無く高揚する気持ち。すべてを前向きに考えられるような爽快感。
「私はリリアナ! 新米自由騎士です! よろしくお願いします!」
「私はキリよ。よろしくね」
(すごい!! こんなにハキハキと話せる!)
(……まるで呼吸をするように人に話しかけれる。これはホントにキリなの? ……キリだわ!)
 知らない人へ話しかける事への抵抗が、全く無い事に驚く2人。

(私は自分に自信が無い。だからいつも他の人の顔色を伺っていた。目を合わせるのも怖いから……少し俯いて目はあわせないようにしてた。それなのに─)

「今は相手の目を見てはっきり話せる!」
 リリアナは自信が感じるとおり自由騎士の先輩達にもきょどる事無く普通に話せていた。
(良く考えてみれば私、自由騎士になれたんだもの……だからきっと何でも出来る! リリーはやれば出来る子なんだ!!)
 漲る自信は人を急激に成長させる。リリアナの変わりっぷりは幾度か依頼を共にした自由騎士達にも驚きとなったようだ。
 一方のキリ。
(半日ってあまりにも時間が足りないわよね……だったら、今まで出来なかったコトをしなきゃ!)
 そうと決まれば早い。早速行動に移るキリ。
「私もご一緒していいですか?」
 キリに声を掛けたのはリリアナ。同じ依頼を受けているにもかかわらず、先ほどまでは互いに会話もままならかった相手だ。
「もちろん」
 即答。キリは笑顔で答える。リリアナも笑顔のお返し。
 2人はまるで以前から友達だったかのように並んで広場へと向かったのだった。

 広場に着くとキリはプレールを取り出し、故郷の曲を奏で始める。
 お世辞にも上手いとはいえない演奏。だがキリは気にしない。まだまだ下手っぴなのは自覚している。でも今なら誰に聞かれても平気、むしろ聴いてほしい、と。

 うぅ……下手なものは下手でした──

 不退転の覚悟で演奏を始めてみたものの、演奏自体が上手くなっている訳ではない。
「うーん。あんまり上手くねぇなぁ」
 観客がぽつりと呟いた一言がキリの心に突き刺さる。
 故郷の曲は難しく、何度も音を外す。心無い言葉にキリの心は折れそうで。
 でも何も出来ない私には戻りたくない──キリが引き直しを始めた直後だった。
「では、私も」
 そう言うとリリアナは音楽に合わせ舞を踊り始める。リリアナの踊りも完成されたもの、というわけではない。そこにはたどたどしさが見え隠れする。
 そんな中キリは改めて思い出す。どんなに辛い時でも、これまでのキリだってめげなかったじゃない──堂々と今の自分の精一杯を見てもらうんだ。
「いいぞー! 姉ちゃんたち!」
 観客にも2人の気持ちが通じたのだろうか。いつしか2人は歓声に包まれていた。

●コール
 口調こそ変わらない(これは元々作っている口調だからという事もあるのだが)コールだったが、その効き目ははっきりと自分の中に感じていた。
(すごい……心の奥の臆病さが消えて、代わりに自信と希望が溢れてきて……今なら、何だって出来そうさ!)
 コールは舞台の上でも、世界の中でも端役……それで構わないと思っていた。自分はスポットライトの当たる存在では無い、と。だがそんなコールの控えめな考えを変えたいと思わせる一言、今も心に響き続ける言葉があった。

 君の人生は、君が主役だ──。

 それは若き王『イ・ラプセル国王』エドワード・イ・ラプセル(nCL3000002)に謁見した際、コールが直接頂いた言葉。
 思いもしない言葉にコールの気持ちは大きく動く。王様に言ってもらえたから。それが許されるとわかったから。
 少しだけ。少しだけでいい。主役を演じてみたい、と──。
 コールは仕事場の劇場にいた。休みの劇場に人影は無い。
「あ、え、い、う、え、お、あ、お」
 軽く発声練習をするとコールが開いたのは自らも出演する劇の台本。
『……嗚呼、何故結ばれてはならぬのですか。貴方と私、一体何が違うと言うのですか……この想いは間違いだと、そう仰るのですか!』 
 コールが感情たっぷりに読み上げるセリフは紛れも無くヒロインのもの。
 それは何度も何度も読み込んだ台本にありながら、ただの一度も意識する事の無かったセリフ。
「はぁ……はぁ……」
 全力で演じきったコール。誰もいない劇場にその荒い吐息だけが響く。
 そうして実感したのは自らの未熟さ。やはり本物には遠く及ばない。
 
 ああ、そうか──
 主役を張るのは、こんなに難しくて──
 こんなにも……楽しかったんだ──

「……もう少しだけ、続けたいな」
 大きく息を吸い込んで深呼吸するコール。
 しんと静まり返る劇場。だが彼女には見えている。華々しい音楽と共に自身へと向けられるスポットライト。大勢の観客と賞賛の声。それはきっと……コールが実現するであろう未来。
 誰もいない劇場で、本日二度目の公演が始まった。

●そして──。
 明けない夜は無いように効果のきれない薬もまた存在しない。
 彼らにもその時はやってくる。
 この薬の最大のチャームポイント。それは薬が効いている間の記憶がそれはもうはっきりばっちりくっきりとと『ある』という事だ。
「…………っ」
 自らの痴態を思い出しているのであろうか──今にも泣きそうな表情で耳まで真っ赤にしたフーリィンは、部屋の隅で俯きながらぷるぷると全身を震わせている。当然のようにセットされたままの「魔王」の技能がまた郷愁を誘う。
「薬、ダメ、ゼッタイ」
 疲れきった表情で同じ言葉を繰り返しているのはカーシー。ばたりと倒れこむとそのまま動かない。
「……みんなお願い。今日みた事は、全部忘れて」
 皆に懇願して回っているのはエルシー。よほど恥ずかしかったらしくその表情は少し涙目になっている。
 どうやら裏の性格が出てしまった者達は深刻なダメージがあるようだ。

 一方性格が反転した者達はどうだろうか。
「あ、ああああ、あのあのすみません。私なんだか生意気な感じに……すみません、新人なのに……すみませんすみません」
 だが、謝っているにもかかわらずリリアナの表情は明るい。
「えっと……もっと長く効く薬にはなりませんか?」
 そうエミルに伝える。リリアナは反転した自分の中に自らの理想を見たようだった。
「素敵な体験でした」
 そういって薬が効いている間に体験した事を報告したキリ。
(この人とはどこか似た空気を感じる……エミルさんとも仲良くなりたい)
 不思議なお薬のお話も聞きたいし──それに自由騎士の皆さんとももっともっとお話したい。キリの中に改めて生まれたのは他人への興味、知りたい気持ち。気ばかりがはやるキリにエミルは一言。
「すぐじゃなくてもきっと大丈夫ですよ」
 その言葉にはっと気付く。そっか、焦る必要は無いんだ。少しずつ、少しずつ……ゆっくりと。
 キリが手にするノートには改めて気付いた自身の長所が書き連ねられている。その最後はこう綴られていた。焦らず肩に力を入れすぎないで、と。
「大した人脈はないけど、少しでも売れるように宣伝させて貰うよ。……いい薬だった、ありがとう!」
 そういってエミルの手を握るコールの表情はとても満たされているようだった。
「素敵な体験をされたのですね~」
 コールはその言葉に心からの感謝の笑顔を返す。そしてそれを見たエミルもまた満たされた気分になっていた。
「それでは皆さん、ありがとうございました~」
 そういって帰ろうとするエミルにエルシーがひそひそと話しかける。
「エミルさん、その……みんなの記憶を消してしまう薬とかってないかしら?」
「うーん。どうでしょう~」
 エミルの口角が僅かに上がったような気がした。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『エル☆スカ』
取得者: エルシー・スカーレット(CL3000368)
『秘匿のヒロイン』
取得者: コール・シュプレ(CL3000584)
『混世魔王』
取得者: フーリィン・アルカナム(CL3000403)

†あとがき†

薬の効果いかがだったでしょうか。

MVPは魔王となった貴女へ。魔王……魔王か……。

ご参加ありがとうございました。
FL送付済