MagiaSteam
≪Fp1820≫Yellowflowerfete



●黄色の花が咲くころに
 フルール・ド・プランタン――
 春を告げるミモザの花。その開花を大事なヒトと待つ祭りだ。2月のこの時期から一か月間続く祭りで、大事な人に花やお菓子を配る。ミモザの華言葉は『友情』……そして黄色のミモザには『内緒の恋』という意味もある。
 また同時にミモザ語源の『ミモス』と呼ばれる芸事がある。口上、軽業、寸劇、物まね、パントマイムと言った雑多な芸の総称だ。ミモザの花を送る代わりにこういった芸で友愛を示す者もいる。
 そういった事情もあり、フルール・ド・プランタンの時期は町に花が咲き、様々な芸達者が街でパフォーマンスをしている。華やかな通りから少し離れれば、ロマンスに適した静かで景観のいいスポットも用意されている。
「来るがいい勇者よ。魔王がお相手してくれよう」
「あーし、踊ります!」
「Insanity! これなるはヘルメリア由来のスチームクラーケン! お代は見てのお楽しみだ!」
「が、がおー?」
「聞いたわ。人形劇をすればいいのね。最高のシナリオを用意してあげるわ」
「ヘルメリアではこの手のお祭りはノウブルしか楽しめない空気がありましたからね」
 様々な芸人(?)が街で芸を披露していた。

 春の足音が聞こえてくるイ・ラプセル。今年はどんな祭りになるだろうか?



†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
イベントシナリオ
シナリオカテゴリー
日常σ
担当ST
どくどく
■成功条件
1.フルール・ド・プランタンを楽しむ
 どくどくです。
 ミモザって聞いてお酒(シャンパンのオレンジジュース割り)が真っ先に思い浮かぶロクデナシなどくどくです。

・説明!
 フルール・ド・プランタンです。街はミモザの花を売る花売りが笑顔で迎えてくれて、芸人達がお祭りとばかりに芸をしています。
 そういった光景を楽しむもよし、友情や愛を告げるもよし、芸人に付き合うもよし、自ら芸をするもよし。楽しみ方は様々です。
 行動は【1】~【4】をプレイング冒頭もしくはEXプレイングに書いてください。書かれてなければ察しますが、書いてくれると執筆の手間などの観点からどくどくマジ助かります。

【1】祭りを楽しむ:活気あふれるをフルール・ド・プランタン楽しみます。
【2】愛の告白:友愛や恋愛、そういった気持ちを静かな場所で誰かに伝えます。
【3】芸をする:自ら芸をします。あるいは芸人(NPC)に絡みに行きます。
【4】その他:主に町の警邏などの裏方等。発想次第で何でもあります。あくまで常識範囲内でお願いします。

●芸人(NPC)
 NPCは絡まれなければ基本空気です。また、どこかに連れ出すことも可能です。

・サイラス・オーニッツ(nCL3000012)
 ペストマスクの怪しい医者です。ボールを投げられて派手にやられる『射的の的』をやっています。

・ジョン・コーリナー(nCL3000046)
 ヘルメリアの紳士です。ガジェット由来の手品をしています。

・アミナ・ミゼット(nCL3000051)
 裸に近い南国衣装で踊っています。

・ニコラ・ウィンゲート(nCL3000065)&レティーナ・フォルゲン(nCL3000063)
『怪奇! ヘルメリアの蒸気クラーケン!』なる見世物小屋っぽいことをやっています。数多の腕系ガジェット(ニコラ作)を装着したレティーナと、演出で爆発っぽい効果音を起こすニコラ。

・メアリー・シェリー(nCL3000066)
『裏切りのホリデイ 幸せのハイタッチヤァ!ヤァ!ヤァ!』なる人形劇を行う予定です。スパイが互いの家を交換してネコに癒されるとかなんとか。

●場所情報
 イ・ラプセル首都、サンクディゼール。フルール・ド・プランタンは町全体で行われています。時刻も特に指定はしません。デフォルトは昼。夜に何かしたければ夜も可能です。
【2】の場所は常識的範囲内でいくらでも設定可能です。王城内がギリギリラインです。

●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の1/3です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
・公序良俗にはご配慮ください。
・未成年の飲酒、タバコは禁止です。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
報酬マテリア
0個  0個  0個  1個
11モル 
参加費
50LP
相談日数
7日
参加人数
23/∞
公開日
2020年02月25日

†メイン参加者 23人†

『戦場に咲く向日葵』
カノン・イスルギ(CL3000025)
『みんなをまもるためのちから』
海・西園寺(CL3000241)
『命の価値は等しく。されど』
ナバル・ジーロン(CL3000441)
『トリックスター・キラー』
クイニィー・アルジェント(CL3000178)
『毎日が知識の勉強』
ナーサ・ライラム(CL3000594)



「おーにーくー!」
 通りに響く『教会の勇者!』サシャ・プニコフ(CL3000122)の声。明るい声がイ・ラプセルの祭を示すかのようだ。
 フルール・ド・プランタン。春を告げるミモザの花。それを送り合い、愛を告げる風習だ。春の足音を聞いながら、人は歌い踊り続ける。
「いやはや、大した賑わいだ」
 言いながら街を歩く『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)。街の視察なら信用できる部下もいるのだが、やはり自分で見てみたいという思いが強かった。妻と何処を歩くかを想像しながら、祭りの喧騒を見ている。
「陛下の即位からもうすぐ二年。このまま平和が続けばいいのだが」
 貴族として、自由騎士としてテオドールは国の平和を静かに噛みしめる。時代の奔流を感じながら、同時に自分達の平和を感じることが出来る。それがどれだけ幸せな事か。そしてその維持がどれだけ大変な事か。それでも――
「いかんいかん。今は祭りだ。気を休めないとな」
「そうよそうよ! かんぱーい!」
 ジョッキを手にして『ピースメーカー』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)が叫ぶ。戦う時は戦う。休む時は休む。飲む時は飲む。悩みを抱える事を悪いとは言わないが、メリハリは重要だ。今はこの祭りを楽しもう。
「白ワインとオレンジジュースでミモザ色のお酒とかどう? オシャレで美味しそうじゃない?」
 ジョッキに注がれた黄色の液体。太陽の光を受けて黄色く花咲くミモザのような酒。アンネリーザはそれを一気に嚥下する。それを見ている人が気持ちよくなるほどの飲みっぷりだ。つられて酒を飲む者も増え、樽がまた一つ空になる。
「美味しいお酒が飲めるって最高! ほらほら、エルシーも一緒に!」
「かんぱーい!」
 テンション高めに酒を飲む『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)。いいことがあったのかそれとも祭りのテンションに当てられたか、酒を飲むペースがいつもより少し早い。雪がれたワインを一気に飲み干し、お替りを要求する。
(エドワード陛下にミモザの花、届いたかな)
 今朝がた、知り合いの衛兵に渡してほしいと頼んだミモザの花。愛を告げる贈り物は届いただろうか? そしてエルシーの気持ちは届いただろうか? それが分かるのは先の話。今はこの気持ちと溢れんばかりの情熱を喜ぼう。
「ワイン追加! ボトルで持ってきて!」
 それはフルール・ド・プランタンの酒場の一幕。今日も愛と笑顔が途絶えない。

「よし! 今回はオレがドロテアをエスコートするぞ!」
 と、気合を入れる『たとえ神様ができなくとも』ナバル・ジーロン(CL3000441)。去年はまだ慣れなくて街を案内されたが、今年はエスコートしなくては男が廃る! そんな気合を入れて祭りに挑む。
「お祭りは一人で来ても楽しいですが、二人ならもっと楽しいのであります! 今年も一緒に楽しみましょうね!」
 そう言って笑顔を向ける『だいすきなおんがく』ドロテア・パラディース(CL3000435)。街はミモザの花で彩られ、楽しい音楽や芸事であふれている。感受性の高いドロテアはその音や色彩でワクワクしていた。
「オレの服、地味じゃないかな? 村から出る時に親からもらったやつなんだけど……」
「そんなことありません。親御さんの気持ちが伝わってくるであります!」
「そ、そうかな……」
「はい。肩幅、胴回り、足回りも綺麗に整えられてあります。ナバル殿のことをよく理解しているのが伝わってきます! 親の愛は素晴らしいであります!」
「あはは……。褒められてるんだけど、オレがかっこいいってわけでもないのか、うん」
「?」
 そんな事を言いながら街を歩くナバルとドロテア。未成年の二人は酒ではなく食べ物やジュースなどがあふれる通りを歩いていた。
「あのお菓子! 色とりどりで綺麗であります!」
「そうだな。一緒に食べようか。今日はオレがおごるぜ!」
「ありがとうございます! お祭りムードって良いでありますよね、ワクワクが止まりません!」
「よし、もっと楽しもうぜ!」
 周りの空気に促されて祭りを楽しむ二人。この二人もまた、祭りの空気の一つだった。


 フルール・ド・プランタンを楽しむ中、自らの務めを忘れない自由騎士もいた。
「ぶはぁ! いいエールじゃねぇか」
『強者を求めて』ロンベル・バルバロイト(CL3000550)もその一人だ。エール片手に街を警邏し、事件あらばそこに顔を出していた。
「おう、喧嘩か? だったら俺も混ぜろや!」
 なお、解決方法はロンベル流。
「ひよっことは言え自由騎士! 俺達もその務めは果たさなきゃね」
「ひよっこって……何……?」
 言いながら街を歩くセーイ・キャトル(CL3000639)とノーヴェ・キャトル(CL3000638)の【ホイッスル】。笛を手にして危険あらば指摘するつもりだ。
「まずはサイラスさんとこかな?」
 二人が最初に向かったのはボール当てをしているサイラスの所だった。子供を中心にしたほんわかとした遊びで何ら問題は見られない。
「『安全』……は……大丈夫……」
 ボールではなく石や銃を使おうとした者達がいたので、ノーヴェがやんわりと止める。その他は問題なしと二人は歩き出す。
「アミナさんとこは……ノーヴェ! こ、これは見ちゃ駄目だ! 行くぞ!」
「? セーイ、鼻血出して、怪我した?」
 アミナの衣装を見て鼻血を出すセーイ。それを見て不思議がるノーヴェ。ギリギリだけどあえてスルーで。
「メアリーさんは人形劇か」
「…………。よく『分からない』けど、あたたかい……」
(帰りに指人形でも買ってやるか……)
 メアリーの蒸気人形劇を見る二人。ノーヴェがよくわからないままに真剣に見ているのを見て、セーイは財布の中身を確認する。何かに興味を持つ事は大事だ。相棒は口下手ではあるが、無感情ではないのだから。
「あとはニコラさんとレティーナさんとこか。問題はない……って待て!」
「『爆発まで、あと四分』……ざわざわ、する」
「ざわざわしてる場合じゃな良くて、止めろー!」
 カウントダウンしていく砂時計とそこに掲げられた看板を見て、セーイは笛を鳴らす。
「Badluck! 逃げるぞスチームクラーケン! 緊急脱出用装置作動!」
「ええ!? それって試作段階とか言ってたアレですよね、やめましょうよ!」
「やばい予感しかしないのを使うな!?」
「……うん、未来確認。危ないから……皆、退去……」
 自由騎士の活躍で、平和なフルール・ド・プランタンが護られるのであった。
「騒がしいな。祭りはもっと静かに楽しむものなのに」
 そんな喧騒を遠く聞きながら、『黒衣の魔女』オルパ・エメラドル(CL3000515)はため息をつく。今日はオフ。フルール・ド・プランタンを楽しむべく、入念な準備をしてきた。服を新調し、人が集まる場所を厳選してミモザの花を手にする。
(おかしい。俺がこうして立っていれば、物影からひっそりとこの俺を慕ってみつめている美しいお嬢様方が今日こそチャンスとばかりに声を掛けてくるかと思っていたのだが……)
 オルパは待っていた。サンクディゼールの出会いの場所ともいえる噴水の前。目立つ場所で立っていれば、女性の方から声をかけられると。
(目立つ場所ではなく、静かな場所がよかったか? いや、それよりも服はもう少し派手な方がよかったかもしれない。後ミモザの花はやはり女性から差し出される風習を重んじる古風な子もいるだろうから――)
 思考するオルパ。その時間は数時間にも及ぶ。
 日はいつしか傾き、オルパは帰路につく。次こそはと誓いながら――


 フルール・ド・プランタンではミモザの花を贈る代わりに『ミモス』……芸を送るという風習もある。そこから転じて、様々な芸や商売が通りに並んでいた。
「こうゆう時こそ稼ぎ時ですぅ!」
 そして商売人の『食のおもてなし』シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)がいきり立つのも当然の流れであった。屋台を引いて通りに並び、様々な和菓子を並べる。色彩まで計算された様々なお菓子の陳列だ。
「よってらっしゃい見てらっしゃ~い。美味しい和菓子ですぅ~」
 主力のどら焼きにはミモザの花を添え、緑色の鶯餅をその横に並べる。綺麗な緑色が並ぶ姿はそれだけでも人の目を引く。珍しいアマノホカリの食べ物という事もあって、通りの人は皆足を止めていた。
「八千代堂の餡子はあんぱんの餡にも負けない美味しい餡子ですぅ! 是非ご賞味あれ〜!」
「甘い香りなら、負けてはいません」
 チョコパスタを作る『パスタ宣教者(ゴブリン史)』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)。フルール・ド・プランタンの楽しいひと時を彩る甘い食べ物。そう、それがこのチョコパスタである。
「これで皆の胃袋を鷲掴み……ではなく狐掴みですわ」
 鍋で煮込むことで香りを周囲に広げ、客を寄せる。パスタもチョコが絡みやすいように温度調整と太さを計算されている。全てはパスタ神のお導きのまま……ではなくアンジェリカの料理スキルのなせる技だ。
「あ、皆様のパスタへの感謝の声が聞こえます……。『満足感がパない』『食べたら恋人が出来ました』『肌が少し若返った気がする』……素晴らしい!」
 少し通りをずらせば、そこは芸をする人たちの通りだ。
「私は孤児。住む所も食べる物もなくこのままでは死ぬばかり」
『戦場に咲く向日葵』カノン・イスルギ(CL3000025)は通りで一人芝居をしていた。祈るようにして膝をつけば、その視線の先には一つの靴。何とはなしにそれを履けば、足が止まらなくなったのか、駆け足をするカノン。
「わ、わ、わわわぁ! 足が止まらないよ!」
 足踏みをしながら回り続けるカノン。用意してあった木(大道具)にぶつかる瞬間に華麗な跳び蹴りでそれを砕いたり、家(大道具)をぶち破って中にある食事を食べたりしながら突き進む。行きつく先は一つの遺体。それが靴の持ち主だ。遺体を埋めようと穴を掘れば――
「わあ! 穴の中から財宝が! 靴が導いてくれたんだ!」
 かくして孤児は幸せになりましたとさ。カノンのしめの言葉に拍手が沸き上がる。
「人形劇か……」
『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)はメアリーの人形劇を見ていた。複数の蒸気人形を操り、一つのストーリーを作っている。スパイの二人が家を交換して生活し、そこに住むネコに癒されながら任務をこなすヤァヤァヤァなシナリオだ。
「一人で見せる人形劇、か。その発想はなかった、ね」
 視野を広げる為に観劇を嗜むマグノリアだが、一人の人間が生む群像劇というのはお目にかからなかった。ヘルメリアの蒸気文明あっての事だが、これも新しい形なのだと納得する。
「うん、いい刺激だ。いつか、試してみたいね」
「いえーい! お祭りだー!」
「いえあ!」
『南方舞踏伝承者』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)はアミナと一緒に踊っていた。オーラを煌かせ、アクロバティックな踊りを披露する。服もアミナと同じ女傑部族のギリギリラインな服に着替えてのダンスだ。踊るたびにカーミラの豊満な胸が揺れる。
「皆も一緒に踊ろー!」
 楽しそうにカーミラが声をかける。肌から玉のような汗を飛ばし、楽しそうに笑顔を振りまいている。そのカーミラとアミナの姿に心の壁が解けたかのようにつられてダンスの輪が広がっていく。通りはいつしか、ダンスストリートになっていた。
「花火だー! 回天號砲ばびゅーん!」
「あーしもせんぷーたいでぐるぐる回るよー!」
「あちらの通りはにぎやかですね」
『最初のいっぽ』ナーサ・ライラム(CL3000594)はダンスの賑わいを聞きながら、ジョンの手品を見ていた。ガジェットを駆使した手品。そのタネを見ようと目を凝らす。
「はい。青のボールがいつの間にか赤に」
「すごいです! ……あの、蒸気技術と手品の明確な違いは……?」
 ジョンの手品に天然ながら的確なツッコミを入れるナーサ。
「ええ、お嬢さん。それは重要な事です。蒸気技術は人の生み出した技術。手品は心の裏を突く技法。つまり――」
「わかりました! 積み重ねた技術と、裏をかく心理戦。その違いなんですね!」
「おやおや。先に答えを言われてしまいましたか。聡明ですね」
 ジョンの言葉に微笑むナーサ。新しい知識や技術に触れることは世界が広がる。その興味心がナーサの原動力だった。
「成程。単にガジェットの機能だけではないという事ですね」
 ジョンの言葉にうんうんと頷く『優しいキスを左手に』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)。盛り上げなどの何かしらのサポートがいるかと思ったが、その必要はなさそうだ。手品がひと段落した時点で、デボラは声をかける。
「あの、ジョン様。この後お時間はありますか? 父様の会社を手伝って下さっている職人さんが経営しているカフェがあって……」
 人が見ている所で誘うのは勇気が要る。それを生みだせたのは周りの空気もあるのだろう。神像の音が聞こえないように胸に手を当て、相手の返事を待つ。ジョンは指をこする動作をして、そこからミモザの花を手渡す。
「いいですよ、フルール・ド・プランタンにあやかりましょう」
 愛を示すミモザの花。それを同等の意味を持つ『ミモス』と共に手渡した。
『ヘイヘーイ。誘いのタネを用意してやがったぜこの紳士。誰に向ける予定だったんだろうなぁー? アンタじゃない可能性もあっt』
 言いかける『女心チェッカ―』を無言で黙らせるデボラ。そして笑顔で花を受け取り、ジョンと歩き出す。
「ふむ、甘い香りだな」
「マスクに香草を入れ過ぎだ」
 サイラスの言葉に『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は静かに言い放つ。ペストマスクはクチバシ部分に香草を入れることで空気を浄化し、瘴気の中でも活動できるようにしている。そのレシピ次第では麻薬レベルの高揚感も得られるだろう。
「しかし催しには積極的に参加しよるよなあ。貴様と言う医者の人となりが今一掴みきれぬ」
「君の分かりやすいほどの医療一辺倒ぶりも大概だと思うがね」
「危険地帯に躊躇なく入る貴様の言えたことか。……おい、石とか投げて良い? 駄目か。そーか」
 ボールの柔らかさを確認しながらそんな話をするツボミとサイラス。思えば同業者ではあるがあまり話をしていない気がする。互いに忙しい身なので仕方ないといえば仕方ないのだが。
「ふむ。一度酒でも飲むか。或いはそのマスクを剥ぐか」
「その二択は君の中でバランスが取れているのかね? マスクは取らないが」
 医者って変人しかいないのかなぁ。会話を聞いていた者達はそんな疑問符を浮かべていた。
「サイラスさん……ガンナーとして挑ませていただきます!」
 射的と聞いてやってきた『おうじょのともだち』海・西園寺(CL3000241)は一礼して指定の位置に移動する。そのまま大口径の銃を構えて――近くにいた警邏に止められた。
「え? 銃はダメなのですか……!? 手で……このボールを? 西園寺は銃の腕前を試したいのですが」
「銃はいざとなれば使えなくなる可能性がある。君が真に王女を守る騎士たるなら、いかなる状況でも戦えるようにすべきではないかね?」
 サイラスの言葉にはっとする海。確かに武器不携帯の場所での警護もあり、一理ある。
「わかりました! 西園寺はボールを使います! えい!」
 海が放ったボールは放物線を描き、二回バウンドして転がる。サイラスの横をころころと転がっていく。その結果に涙を浮かべる海。
「うう……これじゃ、ティーヌを守る騎士として失格です! 今年は大好きなティーヌをしっかり守れる騎士として頑張るって誓ったのに……!」
 泣き出す海。騎士とはなんなのだろうか。そう思わせる一幕であった。
「Where!? 何処から来たのかわからない! それがこのスチームクラーケンだ!」
「う、うねうねー?」
 六本のガジェットアームを操るレティーナと、それを紹介するニコラ。
「あいつ等何やってんの……?」
 それを見て呆れる『ニコにー』ニコラス・モラル(CL3000453)。
「海底にはこんなのいるの? すごーい!」
 そして興味を抱く『譎詐百端』クイニィー・アルジェント(CL3000178)。
「マジ? 生物なの? 人工物じゃなくて機械っぽいのがいるの!?」
「いやハリボテ外装着たレティーナがアーム使ってるだけで――」
「オフコース! 遥か海底には今は見られない幻想種が存在するのだ! ふっふっふ、興味がわいたようだな! ならば遥か海底の旅に出かけるのだ!」
「えー。尻尾濡れるしなー」
 興味津々なクイニィーに腕を組んで答えるニコラ。尻尾のことを気にしながらも興味は尽きないクイニィー。
「本物は………あるんじゃないか? うん」
 それよりもこのアーム自爆しないよなぁ、と心配しながら答えるニコラス。ノーチラスチームでは工作員をしていたので、深海の情報は触れる機会が少なかった。ネッドか付き添いのステラならあるいh――おい、こんなギャグシーンでシリアス設定をぶっこむのやめろどくどく。
「あるの!? よーしニコニコ組、あたしに情報を開示さなさい!」
「名前混ぜるなよ!? いや、海底とか無理だろ。ミズビトでもないかぎり」
「Nice! つまり海底探索用のガジェットを作ればいいのだな! 海の中で自爆できるか試してみたかったのだ!」
「あ、あははー。ニコラさん発明スイッチはいったみたいですねー。……あの、クイニィーさん、何を……?」
「レティーナも知ってるのよね。教えなさい! どんなことをしても聞きだすわ! 頭をかち割ってでも」
「Surprise!? 脳から直接情報を取り出すという発想はなかった! 新たな発明が――」
「おまえら落ち着け!? ああ、もう。この面子だとこうなると分かっていたのに」
 頭を抱えるニコラス。混ぜるな危険。そんな単語を脳裏に浮かべ、ため息をついた。


「一年なんて、あっという間ね」
 二百年を生きた『かつて魔女だった者』エル・エル(CL3000370)は街を一望できる高台で静かに呟いた。眼下に見える街並み。そこで起きている様々な喧騒。それを見ながら日々を思う。
「ああ。早いもんだ」
『英雄殺し』ザルク・ミステル(CL3000067)はその隣に足り、静かに告げる。去年のフルール・ド・プランタンから一年が経った。あの頃はシャンバラの動乱の真っただ中だ。駆ける様に戦い続け、そして今がある。
「去年は俺からミモザを渡して、チョコを送られたな」
「あの時のミモザが、種を落としてまた花を咲かせたわ」
 エルは黄色い花を手にして、ザルクに向き合う。柔らかい笑顔を浮かべ、ミモザの花を差し出した。
 モザの花言葉は『友情』……黄色のミモザには『内緒の恋』。
 だけどもう内緒ではない。だから送るの花ではなく――
「好きだぜ、エル」
 言葉と気持ち。そして決意だ、ザルクは嘘偽りなく告げる。己の心のままに。
「言わなきゃいけないこともあるけど、もうちょっと待っててくれ」
 そして愛しているからこそ、誤魔化すわけにはいかない。自分の中にある『何か』との決着を。そこから逃げるわけにはいかないのだから。
「ヘルメリアとの戦いが終わったら、絶対に言う。だから――」
「ザッくん」
 分かってる、と言いたげにエルはザルクの言葉を制する。小さく深呼吸し、ザルクの手を取った。
「何があっても、あたしは勝手に消えたりしないわ。だからあんたも、あたしのこと離すんじゃないわよ?」
「ああ、わかったよ」
 それは誓い。共に生きるという二人の誓い。死が二人を別つまで、共に生きるという誓い。
「すきよ、ザッくん」
 エルはザルクを見て、真っ直ぐに言葉を紡ぐ。ようやく言えたこの言葉。
 二人を祝福するように、夕日は高台を赤く照らしていた。


 フルール・ド・プランタンはまだまだ続く。ミモザの花が咲き、春がイ・ラプセルに訪れるまで。
 友愛を語る声は途切れず、芸は笑いを紡ぎ出す。そして春を前に花咲く愛もあった。
 時に1820年。時代は激しく加速する。戦火は広がり、冷たい鉄が大地を血に染める時代。
 それでもなお。否、だからこそ人は祭りを楽しむのだ。笑うために、愛し合うために。
 ミモザの花は、春の訪れと友愛を告げる様に咲くのだから――


†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『春近し乙女』
取得者: デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
『貴重なツッコミ役』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『ボールに石を混ぜないでください』
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『花に乗せた想いよ届け』
取得者: エルシー・スカーレット(CL3000368)
『二人の誓い』
取得者: エル・エル(CL3000370)
『カンフー靴は千里を走る』
取得者: カノン・イスルギ(CL3000025)
『観劇者』
取得者: マグノリア・ホワイト(CL3000242)
『ティーヌの騎士を目指して』
取得者: 海・西園寺(CL3000241)
『笛を鳴らす警備隊』
取得者: ノーヴェ・キャトル(CL3000638)
『笛を鳴らす警備隊』
取得者: セーイ・キャトル(CL3000639)
『この後妻と祭りを楽しみました』
取得者: テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)
『喧嘩は殴って解決』
取得者: ロンベル・バルバロイト(CL3000550)
『南方アイドルダンサー』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『今年はエスコートする!』
取得者: ナバル・ジーロン(CL3000441)
『エスコートされるであります!』
取得者: ドロテア・パラディース(CL3000435)
『二人の誓い』
取得者: ザルク・ミステル(CL3000067)
『知識を得るなら遠慮しない!』
取得者: クイニィー・アルジェント(CL3000178)
『パスタ神職(侵食?)者』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『イケメンな俺に遠慮するなよ!』
取得者: オルパ・エメラドル(CL3000515)
『毎日が知識の勉強』
取得者: ナーサ・ライラム(CL3000594)
『屋台【八千代堂】は営業中!』
取得者: シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)
『笑顔と酒と手作り帽子』
取得者: アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)
特殊成果
『ミモザの花びら』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員

†あとがき†

春風は黄色の開花と共に――
FL送付済